第4話 楽しい水遊び 【プラム・クリークの土手で】 =4= 「もうそろそろだぞ、お前たち!」 父さんが丈の高い草を押し分け押し分け、道を作ってくれます。 ある日曜日の午後、ローラ、メアリー、そして母さんに抱っこされたキャリーは、父さんが約束してくれた深い淵に遊びに出かけました。 牛を連れて行く坂道を下り、ラッシュの中を抜け、プラムの茂みを通り過ぎ、土手を下って、そして… パッと視界が開けると、急に川が現れました。 川は白い小石の上を流れ、広い淵に流れ込んでいます。向こう岸には高い柳の木が何本も立ち、しずかな水の面にその緑が写っています。 「深いところに行ってはいけませんよ。二人とも」 「はあい!」二人はパシャパシャと水に入っていきます。 【挿絵A:脱ぎ棄てた服が舞い、ドロワーズ一丁で川に駆けこむローラと、その後ろでスカートをたくし上げて「キャ、つめたい」的なポーズをするメアリー 遠近感と躍動感をお願いします。】 「わあ〜!」ローラは水の感触に夢中。あっという間におなかの深さ。しゃがんで立って、こんどはパシャパシャ水をかきます。 「いやっ、ローラ、やめて〜」「そこより先はダメよ。ローラ」 もうローラは水遊びに夢中。そして肩の深さまで入っていくと…いきなり何かに足をつかまれた。 そのままローラは水の中。息もできないし、何も見えない、そして何もつかめない!どうしよう!! ・・・気が付くと、父さんの顔が目の前にありました。 「ほうら、おじょうさん。あんまり遠くに行きすぎるからだよ。ご気分はいかがでしたか?」 「はあ、けほっ、はあはあ」ローラは息をするのがやっとです。 「母さんが岸の近くにいなさいと言ったのを聞いてたんだろう?そんな子は水にもぐらせておしおきしなくちゃな。 そこで父さんがしずめてやったのさ。これからは言うとおりにしなきゃね。ローラ。」 「は、はい、父さん。ねえ、父さん…もういっぺんあれやって!」 「なんだって?!」父さんは大笑いです。 「おまえ、怖くなかったのかい?」 「あた、あたし、すごうくこわかった!」ローラはまだ息を切らせています。 「でも、おねがい、もういっぺんあれやって!!」 その日の午後はずっと、ローラとメアリーは父さんと川で遊びました。 ジャブジャブ歩き、みずのかけっこ、そして二人が深いところに行こうとすると、父さんがブクブクしずめてしまいます。 メアリーはおりこうなので一回ですんだけど、ローラときたら何回もブクブクやられてしまいました。 夢中で遊んでいると、あっという間に家畜の世話をする時間です。 帰り道、ローラは草むらの中に小高い土の壁を見つけました。 「テーブルランドって言うんだ。」「あたし、のぼってみたい」 深い草むらの中に、本当にテーブルのように地面が持ち上がっています。その上は丈の短い柔らかい草が生えていました。 ローラとメアリー、父さんは、台地のてっぺんで草原とその向こうの淵、その向こうの大草原とどこまでも広がる空を眺めました。 【挿絵B:台地の上に立って景色を眺める3人。台地を下からアオリ等】 「おもしろいことばっかりだったね。」家に帰ってから父さんは二人に言いました。 「でも二人とも忘れちゃいけないよ。父さんといっしょでないときは、絶対にあの水遊びの淵に行っちゃいけないよ。」