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次の日の朝早く、ハンソンさんは家の荷物を馬車に積み替え、ペットとパティ、そしてバニィをつないで町へと旅立っていきました。
じっと見守るローラを尻目に、みんなたてがみを気持ちのいい風になびかせて、気持ちよく駆けて、あっという間に見えなくなってしまいました。

その時、心地のいい風に土手の草むらがさらさらと音を立てました。柳の木立をぬってキラキラ輝く川。冒険するにはもってこいです。
「ほらハンソンさんの犬は行っちゃったよ。今紐をほどいてあげるからジャック。わあ、くすぐったい!きゃあ!」
ようやく自由になったジャックは大はしゃぎ!ローラに飛びついて顔をペロペロなめ、ローラはおもいっきりしりもちをついてしまいました。

そしてジャックは土手を駆け下り、ローラも一緒にかけていきます。
母さんもキャリーを抱き上げました。「さあ、メアリーもいらっしゃい。穴のお家を見に行きましょう。」

赤、青、紫、それから白。土手のドアの周りは、アサガオの色とりどりの花が光に輝いています。
ローラは花をくぐって、そっとドアの中に入っていきました。

中は一部屋で、壁は真っ白に塗ってありました。ドアの周りは土の壁で、天井はなんと柳の太い枝に支えられた干し草です!

それから、今度はみんなで坂道を上がって、穴の家の真上に行ってみました。
屋根の上には一面に草が茂り、土手の草と一緒に風にそよいでいます。
「まあ、ここに家があるなんて、きっと誰も気づかないでしょうね。」母さんはクスッと笑いました。
でも、ローラは何か見つけたようです。
「あ、ほらここ!ストーブの穴よ!ほら!」
みんなで覗いてみると、土の下の真っ白い壁の部屋が足元に見えます。

「さあ、父さんが帰るまでにみんなでお掃除しちゃいましょう。」
「はあい!」
母さんは部屋の隅にあった柳のほうきで壁のほこりをていねいに払い、メアリーはキャリーのおもり。ローラは水汲みです。
ローラは家の前の段々をぴょんぴょんと降りると、川に渡した一本橋を渡りました。
一本橋の向こうには、大きな柳を囲んで小さな柳が茂っています。木の下は小さな泉があって、澄んだ水がちょろちょろと流れています。
ローラは何回もバケツに泉の水を汲んでから、ドアの横の水桶に水をいっぱい貯めました。

そのあと、ローラがお母さんと馬車から荷物を降ろしてると、父さんが小さなブリキのストーブと煙突パイプを抱えて帰ってきました。
「いや〜、町が近いっていいもんだな!気に入ったかい、キャロライン。」
「ええ、とても!でも寝るところはどうしましょう。」
「なあに、今日は柳の枝を敷いて土間に寝て、明日には柳でベット枠なんかすぐに作ってあげるよ。あ、ローラ、家畜小屋に行こう。」

家畜小屋は大草原の固い土の板でできていて、天井も柳と干し草、土でできています。小屋の中には牡牛が2頭
大きな灰色の体に優しい目、角の短いピートと、赤茶色で目つきが荒っぽく、角も怖いブライトです。
「あたし、牛って好きじゃないみたい、あんまり…。ペットとパティはほんとに旅が好きだったのかな…。」ローラがこぼします。
父さんはローラの手を優しく包んで言いました。
「ローラ、わたしたちはやらなきゃいけないことは一生懸命やらなきゃいけないんだ。そしてやるからには元気よくね。そうすればまた馬も買えるようになるさ。」
「それはいつ?父さん」「小麦の取入れが終わってからさ。」

晩御飯が済むと、みんなはドアの外の小道に腰を下ろしました。
プラム川と柳のこずえの向こう、大草原の西の地平線に、お日様がゆっくりと沈んでいきます。
みんなは何も言わず、それをゆっくりと眺めていました。

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プラム・クリークの土手で

第2話 土の中の不思議な家・後編

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